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ロサンゼルス会計事務所訪問記
今回、5月1日2日と2日に渡って、ロサンゼルス(以下、ロス)にあるアメリカ人経営の会計事務所1ヶ所、日本人経営の会計事務所2ヶ所を、訪問してきた(所在地、事務所名は最後に記載)。
目的は、ロス会計業界における業務内容とAI(高度な人工知能)の影響、顧客減少時期の顧客獲得の方法を、アメリカに見たいと思ったからである。
その前提としてロスの景気の状況であるが、カルフォルニアはI T 関連産業が多く、景気は良いそうでロスでは、今なお不動産バブルがあるそうである。家賃や住宅の価格が上がり、給料では家賃が払えず、部屋をシェアしていかないと生活できない人も多いという。日本の不景気にはピンと来ない風であった。
さて、ご存知のようにアメリカには、日本のような税理士制度はない。誰でも申告書を頼まれて提出することが出来る。主にはCPA(公認会計士)がその業務に当たるが、一般でも、H&R Block 社のように、全米でチェーン展開している民間の税理士資格のなく営業している組織もある。またTax preparerという、申告補助者のような人もいる。そして税務申告は殆どが、電子送信。
申告書をTax returnというので、還付ばかりかと思いきや、Tax payerの方が多いとか。源泉税や各種控除が多く、引っ越し控除のようなものまであるということで、Tax return にも納得。
主な業務内容であるが、アメリカ人CPAは6ヶ所もある事務所を回りながら、TAXの申告、TAXコンサルティング、Financeコンサルティング、Bookkeeping給与計算と幅が広い。アメリカ人CPAは税務申告は50%から60%、日本人CPAは90%から95%だそうな。アメリカ人の方がコンサルテイングは強いようだ。言語の問題と、顧客層、国民性の問題かと思う。
そのスキルの獲得法を聞いてみた。CPA免許は2年ごとの書き換え。その間に80時間の講習が、科目ごとに設定されて必須とか。達成しないと更新できないという。それでスキルを維持。
アメリカも政権が変わり、与党が変わるごとに税法が変わるとか。そうでない時には税率の変更とか、小さな変更らしい。それもあって、講習は必須なのであろう。また、アメリカのCPA免許は州の免許であるから。CPAの知識は連邦税と州税が必須とか。
懸念のAIであるが、今のところ、影響は軽微のよう。難しい税法に適応するソフトは今なお、アメリカにも無いらしい。税金計算の間違いの多いアメリカでは、少数を除き、やはりプロに委任するようだが、完ぺきなソフトの登場は、まだまだ先のようだ。
しかし日本人会計士が「20年後には会計士の仕事はなくなる。」という。徐々にではなく、ある時突然に。その理由は、規模の大きい行政機関が動き出すから。例えば、e-Taxのように。突然、行政機関が、更なるAI化した納税者用の申告ソフトを用意するかも知れないというもの。
顧客は将来に向けて、大型化と零細化の二分化が進むとか。大型化に漏れた事業家は、零細化し、スモールビジネスが主流となる。大型化された大手企業は、更に集約化され、コンピューター化され人手を必要としなくなる。更にAIが入る。大手企業に入りきらないものがスモールビズネス。つまり、1億円以下の事業所である。顧客の90%がこのスモールビジネスと聞いた。
ビズネスは開業当初の3年間が大事とか。帳簿作成やキャシュフロー、特にカード社会のアメリカでは、事業でもしない限り、多くのキャッシュを管理することは皆無という。それらのアドバイスも全てコンサルティングとして、時間単価でチャージするという。我々が無料で提供している、大したコンサルでないようなものも、コンサル事業として有料化されているように思えた。やはり顧客を確保する方法は、日本とも同じ「コミュニケーション能力」とのこと。
顧客の獲得法はインタ―ネットが中心、日本で言うと「食べログ」のような、Y e l p (イエルプ)というソフトが便利とか。そこに本人、スタッフ、クライアントそれぞれの声を動画で載せるのが、効果的というか主流のようだ。なるほど、訪問したアメリカ人CPA事務所のホームページ(以下、HP)は素晴らしかった。(日本にも素晴らしいHPを作っている事務所はあるが少数であろう。)
競争は激しく、口コミは当てにしてないとか。クーポンで、最初の相談1時間無料券とかを発行していたことが、競争社会を想像させた。
今回の訪問は、通訳をつけずに行ったので言葉の制約もあったが、日本人CPAにも話が聞けたし、HPに色々紹介記事が出ているので、予備知識もあり、やや想像通りかなという印象であった。しかし、行ったことのない若い2人の税理士には、「百聞は一見に如かず」というか、眼に焼き付いたことと思われる(感想文は下記HPに掲載)。なお、疑問をお持ちの方、深堀りをしたい方は、来年も企画しますので、是非ご参加ください。
訪問事務所は、下記3事務所。詳細は『NPO法人 税を通して社会貢献を考える会』のHPに、会話は音声で、また英語は文章に落として掲載しています。
JARRAR & ASSOCIATE
大塚米国公認会計士事務所
石上米国公認会計士事務所
■会話音声をYOUTUBEで聞くことができます。
■ロサンゼルス会計事務所訪問の際に撮影した各所。
霧の町サンフランシスコこの低さに霧がある。
石上会計士 事務所内部
石上会計士 事務所内部
サンタモニカ埠頭 ルート66の起点
サンタモニカ埠頭 ルート66の起点
サンタモニカ埠頭 ルート66の起点
近くの空港の小型機
郊外の浜辺
郊外の浜辺
ロサンゼルス近郊の空港
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