Soliloquy税理士のひとりごと

e-TAXのあと (業界紙に投稿した文)

2011.09.26

電子政府の樹立は日本政府の目玉政策です。我が税理士会も数年前から電子申告に取り組み、前倒しでその成果を挙げました。業界をあげて積極的に取り組んだ成果と自負するとともに、税理士のITに関する知識の深さに感謝したいのですが、また今度は行政サイドには、如何に浸透したかに関心が移るのです。
導入当時電子申告先進国として、比較されたのが韓国とアメリカでした。過日私はアメリカで自家用飛行機の筆記試験を受けましたが、その折日本とアメリカの電子政府の違いが顕著に垣間見られたので記述します。
その試験は、試験会場が民間に委託されていて、土日以外年中受験が可能です。前日に電話で申し込み都合のいい時間帯を言えば、翌日その時間に受験が可能。当日試験場に行き、受験料を何とクレジットカードで払います。受験料を払い試験場に入ります。受験者は私一人でした。一人でも実施されます。コンピューターから出される問題を解き、終わると試験立会人が、その場で結果を出し、受かっていれば、その場で合格証を発行してくれます。電子合格証です。事前に電話して、1回試験場に出向けば、合格証を手にして帰れたのです。
その後、日本で日本語バージョンの試験を受けました。試験は年に3回。長ければ4か月待たされます。受験は電子で申込み、その後受験料、切手代を銀行に振り込んだ後、受験票の送付を待ちます。当日はマークシート式の試験。20問ですぐに終わります。それからが長い。それから発表まで1か月。それで来たのが合格証。免許証とは違うと書かれています。それから免許証の申請をする。結局、私は電子で申し込んでから3ヶ月半かかりました。
アメリカでは2日、日本では3か月半という違い。入り口までは電子でも、出口は相変わらずのアナログ作業です。更に切手や返信封筒を送らないなら、その役所まで取りに来いといいます。電子メールや郵送のサービスはありません。ちなみにその役所の所轄は総務省と国土交通省。
さてこの行政の違い。果たして電子政府と言えるのでしょうか。国民は否が応でも電子の世界に放り込まれてしまいました。年寄りも子どもも。しかしその後の役所はと言えば、個人情報及び守秘義務の観点からFAXすら使わないありさまです。それでいてどれほどが電子化されたのでしょうか。行政側の電子化を、我々が見ることはほとんどできませんが。 

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